ソ・ラ・ノ・ヲ・ト ( Hulu )

Rating : 7.5 / 10

 

 二次元の妄想に苛まれて困っている。どうしたものか。

 その割にはアニメを見ないので、Hulu サービスに加入したついでにアニメを漁ってみた。

 

 ところで以下はネタバレ全壊なのでご了承いただきたい。

 

 

 主人公のカナタは超ポジティブ思考の持ち主である。作中に四面楚歌のドツボにはまって散々苦しむテンプレ、さっさと苦しめサノバビッチ。と思っていたら、3話目にして早くも自分はみそっかすであるという自虐思考をぶちまける。さらに終盤になると両親の期待を裏切って兵隊になった事に引け目を感じていることも暴露する。

 リオは大公(国王)が愛人に生ませた子である。物語の中ではよくある話であり、彼女もよくある話を裏切らない。

 フェリシアは下っ端の時に戦線へ行き、搭乗していた戦車が敵の砲弾を受けて自分以外の全員が死亡、這々の体で逃げていたところ旧時代の廃墟の中に落ち、そこでうち捨てられた兵士のミイラとご対面したことがトラウマになっている。

 クレハは幼くして戦災で両親を亡くした孤児で、親の顔もろくに覚えていない。

 ノエルは天才少女と祭り上げられて旧時代の生物兵器製造プラントを復活させてしまった過去を持ち、自責に苦しんでいる。生物兵器は実際に使われて大勢死んだ(綾波レイはもういい)。

 

 これが本作の主役格、密造ワインで現金収入を得ている第1121小隊の構成員である。何かもう嫌になってきそうな設定だが、特に前半はこれらの設定をおおよそ無視して話が進む。隊長の意向で小隊内では階級がない。部隊の駐留場所は学校の廃墟である。もはやちょっと変わった学園ものと変わりはない。主人公たちはお化け退治をしたり、風邪をひいてぶっ倒れてみたり、お買いものに出たり、遠足へ行ったり、家出した子供を探したり、「鳴らない、電話」の前でオシッコを我慢したりするわけだ。

 

 私は脳天気な話にこそネガの部分が必要だと思っている。ポジが強烈であるならネガも強烈でなければならない。明暗のコントラストがあってこそ明の部分が際立つのである。私はまったくもってシドい背景設定を与えられた登場人物がゆるゆるなエピソードを展開するこの話を全面肯定する。いやそりゃノエルの伏線あれだけかよとか、リオのエピソードを何話も引っ張るなら他のキャラにあてがえよとか、最終話で派手にドンパチやった割にエンディングは何事もなかったかのように振る舞ってるなオイとか、2クール分あればもっと設定を生かした話が作れいや前半あれだけのほほんしているヒマがあるならもっと色々できたろとか、そういう突っ込みどころはあるが、いずれも重箱の隅をつつく類いのものであろう。どうでもよい。

 

 突っ込み所があるとすれば、一部登場人物の背景設定と現在のギャップを埋めるエピソードが欠落している部分である。が、意地悪な脚本家がどこかに仕込んでいるとも限らないので、今のところ保留にしておく。

 

 ラストはハッピーエンドで何もかも綺麗に終わる。ここも気に入った部分である。

 

 ただし全話見たければ DVD 買えとか訳のわからん事をやっているのでマイナス1点。